2007年 08月 07日
6月下旬から7月上旬にかけて、ポーランド南部の田舎町に滞在した私たちは、季節や場所柄に恵まれたせいか、夏に向かって色づき始めた沢山の野生の果物に出会うことができました。 その昔ポーランドの家庭では、長く厳しい冬に備えて色々な種類の保存食を作っていたそうです。その名残が残っているからでしょうか、今でもポーランド人の家の庭には2,3種類の果物の木が植えてあり、また公園や街角などの公共の場、そして緑が色濃い山の中にも自然に熟す果物の姿を見ることができました。どれも農薬などをほとんど使わないので味が非常に濃く、また原種に近いからなのかもしれませんが、甘さだけではなく日本の果物が忘れかけているさわやかなすっぱみや渋みも感じることができ、その味の濃さと衝撃的に生涯忘れられないような貴重な体験をさせてもらいました。 明るく色づいた小粒のサクランボです。つまんで口にするとちょっと苦味とすっぱさがあり、生食ではちょっときつかったです。たっぷりの砂糖で煮てジャムやお菓子にするといいかも。火を通して長期保存にするための種類か、もしかしたら見た目がとても綺麗だったのでただの観賞用だったのかもしれません(汗)。 少し赤くなり始めたりんごです。大きさは日本のりんごより一回り小さく、ちょっとごつごつした感じでいかにも昔から変わっていない野生!という感じがしました。旦那の実家の周辺では、前述のサクランボとこの種類のりんごを庭に植えるのはかなりスタンダードのようで、ある程度の広さの庭を持っている家のほとんどに植えられているようでした。近寄るととてもりんご独特の酸味のあるいい香りがしました。 郊外の小さな個人商店の前にあった大きなブラックチェリーの木です。たわわに実りすぎて枝がしなるくらいでした。でも誰も取る様子もなく、熟しすぎて落ちた実が沢山根っこの周りに散乱していました。うーん、もったいない(苦笑)! そう言えばバルセロナでも沢山のオレンジの木が街路樹に植えられていたので、果物の木を観賞用として植えることはヨーロッパに共通したセンスなのかもしれません。でもこんな風に、実がついた木を街中で見ることができると、例え食べることができなくても何だか気持ちが豊かになれるような気がしました。 週末に開かれたFamily Reunion(親族大集合)の際に見つけた野いちごです。深い山の中という場所柄もあったかもしれませんが、ちょっと道をはずれて森の中に入るだけですぐに大量の群生を見つけることができました。実際に野いちごを摘むことが私の小さな夢だったので、目の前に広がった自然の野いちご畑(と呼ぶにふさわしい)を見つけたときは、もうもう全身の毛穴が開くほど感動しました(笑)! これが採取した野いちごです。大喜びで他のポーランド人に見せたのですが、彼らにとっては珍しいものでもなんともないらしく、逆に「そんなもの食べるの?」と怪しまれる始末でした(T_T)。でも食べてみたらとろりと甘くてとってもおいしかったです。炭酸水に浮かべるとふわふわ動いてとても綺麗でした。 川辺に立っていた木からの1枚。洋ナシだったか桃の一種だったかはたまたクルミだったか・・・聞いたのですが忘れてしまいました(汗)。この写真は7月上旬に撮ったものですが、この頃はまだご覧の通り、実自体はまだまだ小さくて青く固そうでした。本格的に熟し始めるにはもう少し時間がかかるようです。 公園の一角になっていたプラムの一種。葉っぱがほとんど梅とそっくりだったので、ポーランドでミラベルキ、もしくはシリフキと呼ばれる果物なのかもしれません。(これで梅干作れるかな・・・?) 道端で見つけたスグリ(?)の実です。手に届く位置にあるというのに誰も取らないらしく実り放題でした。小さくて透明な果実は一見甘そうに見えるのですが、食べてみると飛び上がるほど酸味が強く癖のある味でびっくりしました(汗)。 ポーランドの田舎地方では、このように外を歩けば簡単に野生の果物に出会えました。私にとってこのポーランドでの思いがけない経験は、有名な観光地を訪れたり高価なお土産を買う以上に楽しく充実したものになってくれました。 それぞれに味わったポーランドの果物の味も忘れがたいものですが、何よりも一番気持ちの中に残ったのは、実のなる果物の木を自然に普段の生活に溶け込ませているヨーロッパの人たちの精神水準の高さと、何もかも自然のままに育っているからこそ逆に豊かな恵みを与えてくれるポーランドの植物達のおおらかさでした。 こうした昔ながらの文化がまだ根強く残っている背景にはおそらく、古いものを大切に扱うヨーロッパ人の習慣や、果物がもともと持つ酸味・渋み・苦味等のアクの強さも「まずさ」ではなく「うまみ」として受け取り、それに上手に手を加えることのできる長年の知恵が、今でも人々の中の深い部分に引き継がれているからなのかもしれません。昔ながらの物を代わらずに伝え続けることができるのは、きっとその質が”本物”で、後にも先にもこれ以上のものは生まれてこない”最高”なものだと受け止められているからなのでしょう。 ちなみにポーランドでは、秋には森で沢山の種類のおいしいきのこが採取できるそうです。私の次の夢は、いつかポーランドできのこ狩りをして、日本の味噌を使って野外できのこたっぷりの味噌汁を作り、ポーランドの人たちにふるまうことです(笑)。大昔から作り続けられている日本の味噌も、きっとポーランドのきのことうまく合い、またその味噌汁もポーランドの人に喜んでもらえることでしょう(個人的にはこれにプラス豚肉の薄切りとさきがきごぼう、そしてうどんに最後に葱の輪切りなんかも入れたいところです・笑)。
by japolska
| 2007-08-07 23:47
| ポーランド
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