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2018年 05月 11日

面白かった本 14 内海隆一郎氏著 人びとの街角

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内海隆一郎氏著”人びとの街角”読了しました。
こちらは商店街の人々の生活の一部分を切り取って書かれた短編集です。



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それぞれの短編の中では、特に目を見張るような大きな事件等は起こらず、
ただただひたすらに商店街で働く人々たちのそれぞれの生活と、
その人々の間で繰り広げられている人間関係が書かれているだけのですが、
何というかまるで、透明で特に味はないのだけれど、
ミネラルや栄養はたっぷり入っている適温の水を飲むかのように、
すいすいとページを読み進めることができ、
読了後は心の中がほんのり温かくなりまた満たされるような感じがするのが、
この作家さんの今までに読んできた作品の感想です。


どれもほのぼのとした素敵な作品ばかりだったのですが、
私にとって一番良かったのは、最後の”華燭の典”でした。


この短編では、商店街の不動産屋(男性)の結婚が決まり、
その縁談に縁のあった薬局の夫婦が仲人になったのですが、
着物を新調までして結婚式を心待ちにする薬局の奥さんを尻目に、
新しく不動産屋さんにお嫁さんに来る女性は、
結婚式を開かない意向を薬局の夫婦に伝えます。


その事が面白くない薬局の奥さんは不満を隠しきれないのですが、
実はその新しいお嫁さんは、結婚式を開く代わりに、
商店街にある和菓子屋さんに、商店街全店分の数の紅白饅頭を注文し、
それを持って、自分達夫婦及び仲人の2人と一緒に、
全ての商店街のお店に1件1件挨拶に行きたい、
という考えを持っていることを知らされます。


そしてその挨拶の当日、全ての事情を知った商店街の人々は、
新婚の不動産屋夫婦と仲人の訪問を、以下のようにして楽しみに待ちます。


”各商店の店先から人びとが顔を出して、楽しそうに眺めている。
四人がまわって来るのを待ちかまえて、そわそわしている。”



そして正装した4人が商店街のそれぞれのお店に挨拶に回るのですが、
その裏で薬局の夫婦と商店街の人びとは、こんな結婚式は前代未聞だけれど、
商店街内の和菓子屋さんに紅白饅頭を商店街の店の数の分注文し、
それを自ら1件1件配りながら挨拶をするという行動を通して、不動産屋の結婚の周知と共に、
商店街全てにささやかな幸せを上手に配れたという新婦の秀逸なアイデアに感心し、
その彼女の賢さとしっかりさを称え、実に素晴らしい結婚披露だったと賞賛します。


内海隆一郎氏の本には、決して驚きや派手さはないのですが、
心の中でじんわりと感動させてくれる何かがあり、
私はそれを求めて内海氏の本を少しづつ集めています。


実はこの本を読み終えた後、更に内海隆一郎氏の本が欲しくなり、
日本のアマゾンで送料込みで350円にまで値段の落ち着いた”百面相”を購入しました。
内海隆一郎氏の本は、やはり購入した人はなかなか手放さないらしく、
私が欲しい作品はネットのメジャーな古書市場にほとんど出ませんし、
しかも物によってはかなりのプレミア価格がついており、
その値段もなかなか落ちないので、私は毎日のようにパソコン前で見張っている有様なのです(T_T)。


【速報!】先程ネットオフで同氏著”大樹の下に”をなななんと@208円で購入できました!やったー!
【速報2!】先程ネットオフから”大樹の下に”が欠品との連絡が(号泣)!!!いつも思うけどネットオフ欠品多すぎるよ!!!

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by japolska | 2018-05-11 09:22 | Wonderful Books | Comments(0)


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