2018年 02月 28日
ピーター・ダフィー著/赤根洋子訳”ビエルスキ・ブラザーズ”読了しました。 こちらは第2次世界大戦中、ナチス・ドイツ占領下のポーランド東部において、 ユダヤ人のビエルスキ3兄弟を中心に構成されたパルチザン組織の戦いの様子と、彼らによる同胞のユダヤ人救出劇、 そして約1200人にも及ぶ当時のユダヤ人共同体の生活振りを紹介したノンフィクション作品です。 内容的にはどの描写も非常に衝撃的で、とても読み応えがある1冊だったのですが、 個人的には、複雑な内容の海外作品に時々見られる翻訳時における直訳の堅さのようなものを感じてしまったのと、 もともとの文章が「警察に提出するような詳細な事件報告書」のような書き方をしている印象があり、 正直なかなか読み進めることができず、1日にせいぜい2ページから4ページくらいを読むのがやっとで、 実はこの本の読了には約4ヶ月ほどかかってしまいました(汗)。 感想は、あの大変厳しい戦時下で、よく1200人ものユダヤ人の同胞を守り通していけたと、 彼らの大変な努力と屈強な精神力及びリーダーシップに目を見張る思いがしました。 けれど同時にビエルスキ3兄弟の、よく言えば豪傑、悪く言えば短気で激怒すると見境がなく行動する様子を読んで、 結局、権力というものは、 駆け引きや取り引きが無意味な状況下では、 圧倒的な脅しと暴力を使える者だけが握れるものなのか(T_T)。 と、ちょっとさみしい気持ちにもなりました。 でも、当時のユダヤ人の迫害の様子や、 彼らに対するポーランド人パルチザンやポーランド人農民の態度が詳細に書かれており、 「ポーランド/ポーランド人=第2次世界大戦で甚大な被害を被った可哀想な国/人々」という、 私の中で何となくぼんやりと存在していた意識が少し変わりました。 この本を読んで私の中で樹立された理解とは、 ・第2次世界大戦での一番の被害者は「ポーランド人」ではなく「ユダヤ人」(ポーランドはただ平坦な土地で、位置的にも場所的に戦争がしやすかっただけ)。 ・私が一方的にただの被害者だと思い込んでいた一般のポーランド人でさえ、”ポーランド系ユダヤ人”に対しては冷酷な態度や残虐な行動を繰り返していた。 ・ただ、全ての非ユダヤ系ポーランド人がポーランド系ユダヤ人に対して敵対していたのではなく、自らの意思で彼らの味方につく人々も稀にだが存在していた(ちなみに作品中に出てくるその稀有な人物は、偶然にも我が家と同じラストネームだった。ちょっと嬉しい!)。 の3点でした。 まあ、本来なら仲良くするべきはずの同胞同士なのに、 蓋を開けてみると実は確執があり色々ないざこざがある、というのは、 当時のポーランドの中に限ったことではないのですが、 ただあまりにもひどいと、まるでこの世の終わりのような感じがしますね・・・。 というか、当時のヨーロッパは既にこの世の終わりに近いものがあったのですが・・・。 何はともあれ、夫の出身国であるポーランドへの見方を変えてくれた、 (というより、今更ながらに第2次世界大戦を学びなおしている、と言った方が正しい・笑) 私にとってはかなり意味のある1冊でした。
by japolska
| 2018-02-28 09:11
| Wonderful Books
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