じゃポルスカ楽描帳

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2016年 07月 01日

ポーランドに関する本を読む 8

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夏の間は比較的時間に余裕ができるので、
この時期は集中して日本から船便で送った本を読みまくっています。

久しぶりにポーランドに関する本を読破しました。
ジェフリー・アーチャー氏著の「ケインとアベル」です。
最初は私が苦手とする翻訳物なので手にするのにちょっと気が重かったのですが、
読み始めたらそれを吹き飛ばすくらいの内容で、すぐ夢中になって読み進めていきました。

この物語はまず、ポーランドで孤児として生まれたヴワデグ(アメリカ移民後は改名してアベル)の生い立ちから始まります。
彼は出生後、残念ながら実の親に諸事情により森の中で遺棄されてしまい、
その時は何とか一命を取り留めるのですが、
落ち着いた先は将来的に明るい展望が望めない家庭で、
貧しい生活の中肩身の狭い思いをしながらも成長。
しかしふと転んできた小さな幸運をきっかけにして奇跡的にそこから脱出します。

その後は第一次大戦に巻き込まれ、想像を絶する苦労と悲しみに耐えながらも、
不屈の精神で危険を搔い潜りアメリカへと移住。
それからはポーランド人としてのプライドを片手に弛まぬ努力を重ねながら、
持ち前の抜群の商才を発揮し、アメリカでも屈指のホテル王にまで上り詰める・・・という、
ポーランド移民の偉大なるサクセスストーリー、なんですが・・・。



この作品、ものすごく面白いです!!! 
←今更ながらですみません・・・。


そしてワタクシ、クライマックスから最後までの展開に、
頭を鈍器で殴られたようなものすごいショックを受けました(T_T)!!! 
←いやほんとに殴られたら死にますが(笑)。でも私にとってはいい意味でそれくらい衝撃的だったんです





いやホント、ただ単にポーランド移民の成功物語だけだったら、
これほど惹きつけられなかったと思います。
でも、その彼の対抗馬として、名門でのエリートの銀行家・ケインの存在があり、
ある事情をきっかけに、まずはアベルがケインを心底憎むようになります。
それからはお互いがお互いの最高の敵となりながらも、
またお互いがお互いの事情を誰よりも知るようになるといった状況にまで発展し、
そして隙あらばお互いに全く手加減無く徹底的に足を掬い合おうとするといった、
彼らの手綱を緩めない本気の行動が、読んでいて大変すがすがしく(笑)、
毎日少しづつ読み進めていくのがとても楽しかったです。

それにしても・・・この本を読んで改めて思い直したんですが、
ポーランド人はどんな状況下においても、
状況が許す限りは、自分の意思や判断を絶対に曲げないし、
また忍耐しつつも機会を狙い、決して信念を曲げずに、
機会があれば少しでもその信念を貫こうと実際に行動していくという、
そういった基礎性格があるんだなぁ、、、と、改めて思いました。
(そして第一次大戦中のポーランド国内の絶望的な状況ぶりったらありません・・・。)

この物語に登場するアベルとケインは長い間反目し合い過ぎて、
歳を重ねるごとにお互い意固地になり、
終いには相手の名前を耳にしただけで怒髪天を突く勢いで非常に感情的になってしまう程になってしまうんですが、
クライマックス辺りから、金と名誉を全て持ち合わせた2人にしてもどうしても手に負えない事件(?)が起きてしまい、
そこから否応無しに2人の人生は急接近し、心情にも変化が現れてきます。

そして最後の最後には2人の人生が見事に重なるのですが、
このクライマックスから最後までの流れが本当に見事で、
最後の1文を読んだ時、あまりの素晴らしい物語の締めに感動のため息まで出てしまいました。

読了後の余韻をかみ締めつつも、改めてこの物語全体を振り返ってみると、
最初から最後までどこをとっても不自然な部分は無く(特にクライマックスから最後の部分にかけての流れはお見事としか言いようがない。普通ここいら辺に矛盾点は出てくるものなのですが・・・。)、
むしろ物語の中に登場した人物や物事の流れ全てに、最後の1文に向かって、それぞれきちんと意味があったこと、
そして私のような頭の悪い者にでも、それらの意味がきちんと理解できるくらいのジェフリー・アーチャーの文才にただただひたすら脱帽です。

あと感じた事は・・・人間は死の間際になると、
金や名誉なんてどうでもよくなるんだなぁ・・・ということでした。
アベルもカインもそれぞれの業界で頂点まで上り詰め、
殆ど全てにおいて不可能を可能に出来るくらいの財力と権力を持てた人物でしたが、
結局、2人が最後に望んだものは、皮肉にも実は全く同じものだったということと、
それは決して金や権力があるから手に入れられるというものではなかった、という部分が、
何だかすごく深くて印象に残りました。

非常に良い本でした。心から読んでよかったです。
また引き続きポーランドに関する本を読んでいきたいと思います。


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by japolska | 2016-07-01 15:25 | Wonderful Books | Comments(0)


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