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2018年 01月 09日

面白かった本 6 塩川桐子氏著 ”差配さん”(※ネタばれ有り)

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今回も日本から沢山の日本語の本をこちらに持ってきました。
早速興味をそそられる本からどんどん読み進めています。

2018年度に入ってから最初に感動した本がこちら、
塩川桐子氏著の”差配さん”です。

こちらは江戸時代の下町を舞台に、
上記表紙絵にある面倒見のいいオスのトラ猫・差配さんと中心に、
市井の人々やその周りに存在する猫達の間に繰り広げられる、
ほのぼのとした心温まる人情話の短編作品集です。

どのお話もしみじみ味わい深くてとても私好みなのですが、
特に私が気に入ったのは”乙女の祈り”というお話でした。

このお話の主人公は、自分の可愛さを自覚していて(笑)、
あわよくばお金持ちの家にもらわれて玉の輿を狙っている、
お伽羅ちゃんという三毛猫の雌の子猫なのですが、
あと少しで彼女の夢が叶う!というまさにその時、
思いも寄らないどんでん返しが起こってしまい、
残念ながら玉の輿の話は水の泡になってしまいます。

その代わりにその話が流れた直後に、
山の中で蚕を飼う貧しい小百姓が現れ、
「ぜひ一緒に来て欲しい」とお願いされます。

最初はあまりのオファーの変わりぶりに、
ただただ目を丸くして驚くだけのお伽羅ちゃんでしたが、
ふと、以前に差配さんからもらったアドバイスの、

「お前は城をもらうより自分で造る方が性に合っている」

という言葉を思い出し、最終的には覚悟を決め、
その小百姓のお願いを受け、一緒に山の中に行く事を決心します。

そして実際に小百姓の家に住んでみると、
彼女に与えられたネズミ捕りという仕事に生きがいを感じる事ができ、
また小百姓夫婦からも大変に可愛がられ、
結果的には非常に自分に合った素晴らしい猫生を送る事ができた、という内容でした。

このお話の特筆すべき点は、江戸情緒が溢れる塩川先生の絵や、
もちろんこのお話の内容自体もすごく素敵なのですが、
主人公のお伽羅ちゃんが、玉の輿に乗れるはずだったお金持ちのお嬢さんの手から置いていかれ、
その後に貧しい小百姓の元に行く事を決めるまでの彼女の気持ちの変化や表情がものすごく上手に描かれていて、
私はこのお話を何度も読んで、その度に何故だか涙が止まりませんでした(T_T)。


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ちなみにこちらが裏表紙です。
下のほうにお伽羅ちゃんの絵が掲載されています。
おしゃまだけど素直で賢い本当に可愛らしい子猫でした。
この本は猫好き及び江戸人情話が好きな方に特にお勧めです。


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by japolska | 2018-01-09 09:07 | Wonderful Books | Comments(0)


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