2017年 03月 30日

北国の人たちに関する本を読む 13

青森県出身の”昭和の脱獄王”と呼ばれた、
白鳥由栄(しらとりよしえ)氏の関連本を、
続けて何冊かまとめて読みました。



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この人物に興味を持ったきっかけは、
今現在私が非常にはまっている、野田サトル氏の”ゴールデンカムイ”からです。
この作品には白鳥氏を連想させるキャラクター・白石由竹(しらいしよしたけ)という人物が登場しています。


この人物は、脱獄に対するずば抜けた才能を持ち、何度も監獄から脱獄しています。
しかし性格は短絡的なお調子者で、思慮が浅いために何度も痛い目にあっています(笑)。
けれど彼のおかげで、内容的に暗くなりがちなテーマのこの作品の各場面に、
人間らしいちょうどいい軽さと笑いが加わり、物語の魅力が2倍にも3倍にも膨らんでいます。


その後インターネットでこの作品を調べていくうちに、
作者の野田氏はそれぞれの登場人物に実在した人物をモデルとして使ったことが判明。
その中でも私が一番興味を持ったのが白石由竹のモデル・白鳥由栄氏だったので、
インターネット上の中古書店を検索し、彼に関する本を何冊か取り寄せてみました。



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まず最初に読んだのは、私が敬愛する船山馨氏の”破獄者”でした。
こちらの本は大手中古書店では手に入らなかったので、
北海道札幌市の花島書店さんから送料込みで合計@863円で購入しました。


実際のこの作品の長さは非常に短く、全部で26ページでしたが、
内容的には、収容中及び脱獄中に主人公の心の底にいつも留まっていた孤独や哀しみを、
一人称でしみじみと告白するといった形で書かれており、
私自身は脱獄した経験などはありませんが(笑)、
彼の気持ちが全て理解でき、ぽろぽろと涙が落ちました。
これを読んでますます船山先生が大好きになりました。



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次に読んだのは亡き文壇の大巨匠・吉村昭氏著の”破獄”です。
こちらはブックオフで送料込で合計@198円で購入。
この作品では”白鳥由栄”という名前は出てこず、主人公は別の名前でしたが、
白鳥氏のことについて書かれたのは間違いなさそうです。


内容的には、この作品が一番詳細に”昭和の脱獄王”に関して書かれていると思います。
ただ、主人公目線ではなく、どちらかというと刑務所目線で書かれた”記録”もしくは”資料”的な書き方なので、
主人公に対して共感できるような記述は残念ながら少なかったです。


でもこれを読むと、昭和の脱獄王が活躍した時代の刑務所事情及び日本全体の景気の様子がすごくよく分かるので、
この時代の刑務所の実情及び白鳥由栄氏の事を詳しく知りたいのなら、この本は絶対に外せないとは思います。



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最後に読んだのは斎藤充功氏の”脱獄王・白石由栄の証言”です。
こちらはネットオフで送料込みで合計@108円で購入。
こちらは全2作とはうってかわって、出所後の白鳥氏のインタビューを中心に形成されています。


ただもちろん読者にも白鳥氏の人物像及び脱獄の軌跡が理解できるよう、
出所までの彼の獄中及び脱獄の経緯もきちんと記載されていますが、
何と言っても白鳥氏の生の声が読める、大変貴重な1冊でした。


これらの本を読んだ順番は全く意図せず本当に偶然だったのですが、
結果的にこの順番で読めて本当によかったです。
(おそらくこの順番でなければ3冊連続して読みたいとは思えなかったかも。)
そして新たなジャンルの本の地平線を広げてくれた野田氏の”ゴールデンカムイ”に深く感謝です。



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by japolska | 2017-03-30 09:19 | Wonderful Books | Comments(0)


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